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整備事業者業界レポート[001]

入庫台数に悩む2014年下半期の自動車アフターマーケット

2014年7月は、自動車関連事業者にとって低迷にあえいだひと月となった。新車販売店、中古車販売店、整備業、車体整備業そして自動車補修用部品商と、国内自動車関連事業を営む者が総じて売上げ不振に悩んだのだ。

例年なら、国内の自動車関連業界はお盆前までの時期は活況を呈する。夏の旅行前での安全確認、夏休みを新しいクルマで楽しむといった趣向性を背景に、エアコンやエンジン不調等の不具合が発生しやすい時期でもある。だが、今年の夏はそうはならなかった。

その原因は複合的であり、たとえばエアコンやエンジンの故障発生率が品質向上を背景に以前より減少したことも原因のひとつだろう。あるいは車検点検の表裏現象において、今年は裏になるうえ、猛暑の影響で法定点検の実施希望が減少したことも一因として考えられる。しかしそれだけでは、乗用車およそ6000万台を保有する国内需要とクルマの耐用年数の上昇から考えて、この低迷現象の結論には至らない。では、大きな要因とは何か。じつはほんの数年前の歴史を振り返ることで納得のいく解答にたどり着く。

まず、2008年は5月ごろから原油高となり、クルマの利用を控える傾向が高まった。自転車ツーキニストという言葉が生まれた年でもある。この原油高が起こったこの年は、まだハイブリッド車の知名度も今ほど高くはなく、またEVも登場していない。そしてこの原油高はクルマの所有の意義を考えるきっかけにもなり、クルマの買取市場のみが活況で、新車販売は大きく低迷した。

さらに、この年から2009年にかけて大きく世界経済を揺るがせた「リーマンショック」が起こった。各自動車メーカーが空前の大赤字を出したことでも分かるように、2008年から2009年の新車登録台数は大きく減少したのだった。しかも2009年は、2月にインサイト、5月には30系プリウスといったメーカーからの画期的なエコカーの提案があった年にもかかわらず、である。これらエコカーの売れ行きが回復したのは、2010年からである。

だが2011年3月、東日本大震災の発生で自動車各社の製造ラインが止まったことに加え、自動車の基幹部品も調達困難となり、新車販売計画に大きく影響。契約車登録や納車も大きく秋口へとずれ込んだ。

2008年の原油高時期に新車登録された乗用車は今年が12ヵ月点検。2009年のリーマンショックの時期に新車登録された乗用車は今年が2回目の車検。そして2011年東日本大震災の時期に新車登録した乗用車は今年が1回目の車検となる(レンタカーその他特殊用途車を除く)。これらの大きな社会的事象が起きた年の新車登録台数はいずれもきわめて少なく、つまりリーマンショック時期の登録車と震災時期の登録車の車検時期が重なったこの夏が低迷の要因となったと推察できよう。自販連の公表数値を見ると、いずれの年も6月から9月までの新車登録台数が際立って少ないことが見て取れる。

そこへきて消費税増税が新車、中古車業界へジワリと影響し、相場を崩しはじめた。これからの代替え需要の見通しも期待はできないだろう。トラック、商用車主体の事業領域以外の自動車関連事業者は、9月まではどうやらガマンをしいられることとなりそうだ。(じゅんぺい)